人間関係は、相互関係で互いに依存関係にあります。

しかし、相手に依存すれば(相手を否定、相手に変化を求める)、

それは、即ちコントロール不能になります。

自分や相手が存在しなければ、そもそも悩みは発生しません。

そこで、心(欲求不満や葛藤)を心でコントロールすることではなく、

心を体からコントロールすることが必要です。

エリスは、苦悩に論理的解釈(知性)で乗り越えることを説きましたが、

感情が暴れ馬のように興奮(大脳辺縁系の情動)しているときに、

現実的な効果があるとはいえません。

では、どうすればよいでしょうか。

人間関係の不満や葛藤を生理学的に見ていくと

案外かんたんな解決法が見つかります。

 

例えば、脳幹に存在するドーパミン駆動の神経核(A10神経)は、

適応に必要な活力を再生します。

脳幹部により、前帯状回(ぜんたいじょうかい)が活性化して、

「快適」さ「やる気」「意欲」が高まっていきます。

また、「感情」や「心の働き」に深くかかわっている側坐核(そくざかく)、

扁桃体系(へんとうたい)「幸福感」と関係する楔前部(けつぜんぶ)の

回路網のニューロン活動を調整して、精神的安定を作りだすことができます。

(2017.ニューロサイエンス.BTU)

 

また、触れ合うことで脳内にオキシトシンが分泌されますが、

最近になって、オキシトシンは、下視床下部で合成され

下垂体後葉に運ばれるだけではなく、

分泌されたオキシトシンは扁桃体や大脳皮質など、

脳の中において作用しているのではないかと考えられています。

オキシトシンは、精神的な安らぎを与えるといわれる神経伝達物質の

セロトニン作動性ニューロンの働きを促進することでストレス反応を抑え、

人と交わったりする社会的行動への不安を減少させます。

このような、たくましく生きるために、客観的に自分を捉え、

あるいは感じて(メタ認知・「自己」を「自己以外」から客観する能力)、

適応させていこうとする態度は、本来、人間が持っている

「うまく、よく生きる」ための強い能力なのです。

 

脳幹部の働きは、「自分の中にある正しさ」と

「外の世界の不合理や矛盾」を統合して受容する力の根源でもあるのです。

人間関係の悩みとは、ある意味では、自分にとって異質、不都合なものを

取り入れることでもあります。

しかし、人間関係の悩みは不合理で非論理的です。

そこには、経験、知性や理性では解決できない矛盾があります。

なぜなら、そこで起きていることが、自分自身の「負の感情」と

どう向き合えばよいのかという問題だからです。

だからこそ、身体からアプローチするバランスセラピー学が必要になるのです。