約20年近くに渡って物置部屋でずっと眠っていた
スノーピークの“ランドブリーズ ソロ”ですが、
発掘してから日干し&欠損箇所の確認を兼ねて、屋外で試し張りをしてみました。

 長い年月ずっと使わずに眠っていたテントは
悲惨な状態になっていました。

 その前に、どのような保管をしてたか?を
自分の備忘録的な意味と戒めを兼ねて整理しておきたいと思います。

 

 山で使ったテントは汚れていようが、キレイであろうが
原則的に一度洗っていました。

 

洗ったテントはできる限り完璧を期すくらいに乾燥させます。
繊維の洗いについてはだいたい
「日陰で風通しのよいところ…」と表記されています。

テントの布地が重なって厚くなっている部分など乾きずらい部分も
完全に乾燥してきたら、日なたで直射日光に1時間くらい干して完全に乾燥させます。

 

そしたらキレイに折りたたんで、
・酸化防止のため外気を遮断するため
・余計な湿度にテントが触れないようにするため

に大きなビニール袋に入れて余分な空気を抜きながら口をシッカリと閉めます。

ベストに感じているものは布団圧縮袋に入れて
空気を抜き取るのが良いと思ってます。
(本当にベストな保管方法は知らんけど)

実際に布団圧縮袋で保管していたアライテントベーシックドーム4
25年以上も開封していなかったにも関わらず
PU(ポリウレタン加工)層の酸化・加水分解も起こしておらず、
ノーメンテナンスで復帰戦に出場できそうなコンディションです。

 

 ところで、19年ぶりに発掘した“ランドブリーズ ソロ”は
洗って、乾燥させて、ビニール袋に入れて、さらに密封できるコンテナケースに
収納していました。
ところが、ビニール袋を開封してテントを張ってみると
防水加工されている(PU加工)布地はすべてPUポリウレタン層や
シームテープが酸化・加水分解してしまっていました。
ボトムの修理・補強したシームテープは浮き出していたり、
テント四隅の立ち上がり部分のシームテープはすべて剥がれて、
フライシートのシームテープはブラブラと垂れさがっていました。
また、シームテープの劣化・剥離だけでなく、布地のPU層も
劣化・酸化・加水分解が侵攻して細かい気泡ができていたり、
韓国の垢すりのように触れただけでポリウレタンがボロボロと
剥がれてしまう状態でした。

ラントブリーズ破損1ラントブリーズ破損4
↑縫製部分から浸水を防止するシームテープが劣化し剥離しています

ラントブリーズ破損3ラントブリーズ破損2
↑シームテープの劣化は剥離だけでなく、酸化して粉末化してしまってる箇所も

ラントブリーズ破損5
↑白い斑点はカビではなく、PU層に微細な気泡が発生していた


また、テントの幕体だけでなく、フレームにもトラブルが生じていました。
フレームそのものはまだまだ健在で設営時に撓り具合も良好でした。
けれども、フレームのショックコードが酸化で伸びまくってしました。

ラントブリーズ破損6
ショックコートは予備でストックしていたものが健在だったので、
その場で交換したら解決しました。

 この“ランドブリーズ ソロ”は僕が使ってきたテントの中で
最も苦労と困難を経験させてしまったテントです。
アイゼンを履いた人がよろけて転んできてフレームが折れたり
ボトムがアイゼンの歯と同じ穴が開けられてしいました。
(テント内にいたら僕がアイゼンで踏まれてケガをしてた。。。)
台風直撃をくらったり、連続約60日間ずっとテント場でいろんな人を
雨風を凌ぐために張り続ける試練にも耐え抜いてくれたりと。

 正直な感想として、修理やメンテナンスは不可能な状態でした。
布地にコーティングされたポリウレタン層がここまで劣化していると、
剥がれたシームテープも再度アイロン等での圧着は困難です。
(一時的に圧着できても、すぐに剥がれてしまう。
またアイロン等による圧着作業中の熱でも
老朽化したナイロン素材には致命的にダメージとなる
)
また、テントのボトム部分やフライシートのポリウレタン層の劣化が
あまりにも広範囲すぎるので、新しい布地で補修することもできません。
フライシートとボトムシートはそっくりそのまま総取り換えしかありません。


 けれども、かなりハードな使い方に耐えてくれたテントなので、
修理不能な状態になったから言ってポイッと捨てる気持ちにはなれません。
どんな修理を用いたら使えるようになるか検討していますが
修理ができたところで、あまり永く使うことはできないでしょう。
それほど瀕死状態でした。

メンテナンスにいったいどれだけのコストがかかるか判りませんし、
どれだけの労力と時間がかかるのかもわかりません。

 

しかし、どこか景色の良いフィールドに行って
このテントで一夜を過ごしたい。
「死に花」というか「最後に一花」咲かせてあげたくて。

LandBreezeSOLO2

 

ランドフリーズ ソロのすぐれたコンセプトを継承している
ように感じるスノーピークの本格的ソロテント“ファル Pro.air2”