『いつも作ってもらってるからさ、今度は僕がお前にチーズハットグを作ってあげる。楽しみにしててよ。』


僕の家にマッククスを食べにくるのは何回目だろうね、なんて話をしていた時だった。


テヒョンイヒョンがいきなり僕に手料理を振る舞いたいと言うのだ。


数ヶ月前、ウガファミリーのソジュニヒョン、ウシギヒョンと一緒に出演した番組で作った料理メニューの1つを再現したいらしい。


番組を視聴していた側の僕としては、料理長を務めたソジュニヒョンの腕の器用さに感心していたほどだ。


テヒョンイヒョンは正社員の座を狙う新インターンとしての出演だった為、皿洗いや仕込みの準備、任された仕事を丁寧にこなしていた。


だから形を作るだけでも難しそうなチーズハットグを揚げるだけではなく、ちゃんと材料を集めて生地から作りたいと言うテヒョンイヒョンに内心不安を感じた。


本人には言えないけど少しだけ。

ほんの少しだけ、大丈夫かなって。


けれどテヒョンイヒョンは、


『ソジュニヒョンから何回もやり方教わったし、ARMYにも食べてもらった事あるんだから大丈夫だよ。』


なんて自信満々に言うものだから、

僕は『楽しみにしてる。』と答えた。



それから数日が過ぎた頃、

『材料が揃ったから今からお前んちで作る。』と連絡が入った。


チャイム音が鳴ってドアを開けると、両手に袋を抱えたテヒョンイヒョンがニコニコしながら部屋を上がって行った。


僕もその笑顔につられるように後を追って、ワクワクしていると


『えっ、テヒョンイヒョン。何してるの?チーズハットグ作るんじゃなかったの??』


『お?始める前にまず余計な雑念を追い払って、これから料理を成し遂げる為に心を一点に集中しようかと思って。そしたら美味しいモノが出来そうだろ?』


『う?うん。そう、だね。』


着いて早々、精神統一をするテヒョンイヒョン。


しばらく様子を見ていると、どんどん不思議な行動をしだした。


『次は何してるの?』


『まずは手を綺麗にしなきゃ。基本中の基本だろ?』


『そうだけど、なんでわざわざ外に出てるの?中で洗えばいいのに。』


『あれ?テヒョンイヒョン??』


『疲れたからちょっと休憩。』


『待って、まだ何もしてないよね?』


『ん〜……Zzz


『うそお〜ん。』



3時間後


『あーよく寝た。そういえば何か足りないと思ってたら、ターバン着けてなかった。』


『ああ、料理する時髪垂れてくると気になるもんね。身だしなみは大事だよね。』


『油の量ってこんくらいだっけ?まあいいや。全部入れても。』


『全部入れればいいってもんでもないよ。』


『火つけるね。火これでいいのかな


ボオオオオッ


『ちょっ!ちょちょっ待って!火力やばいって!!しかもまだ仕込み出来てないのに、もう火つけるの!?』


『お前うるさい。次何か言ったらもう作ってやらないからな。』


『えーーー



後半へつづく