マスクを袋から出して
彼女につけてあげる。
顔の小さい彼女は
顔がほぼマスク状態になって
それにちょっと笑っちゃったけど
それが可愛かったから頭を軽く撫でた。
「本当に気をつけて帰ってね!
絶対連絡して!絶対だよ!
あと早く医者に行って、ちゃんと教えてね」
「うん」
彼女はしっかり頷いてくれて
警備員さんの所で別れる。
「すみません。
タクシー呼んだのでこの子
入り口辺りまで送ってくれませんか?」
快くOKしてくれた警備員さんにお願いして
そこから彼女を見送った。
振り返った彼女に手を振ると
彼女も小さく振り返し
警備員さんと共に
ゆっくりと坂を登って行く。
段々と小さくなって行く彼女の後ろ姿を
俺は一人不安な気持ちで
見えなくなるまで見送った。