その後
ゆっくりと歩いて行くうちに
幾分か彼女の足取りはしっかりしてきて
少しホッとした。
そして彼女は
「一緒に居るとタクシーの運転手さんにも
勘付かれるかもしれないから……
ここで大丈夫」
そう言って立ち止まった。
少し先には知り合いの警備員さんがいる。
俺が彼女の為に
出来ることは他にないのかな……
そう考えてみて
泣いて腫れてる顔を隠せるような…
俺の物を何か貸してやろうと思った。
リュックを前側に持ってきて
中をあざいて
俺の帽子と
予備に持ってたマスクを取り出す。
コリちゃんには
この帽子もマスクも大きいけど
何もないよりは良いはず。
「これ、大きいと思うけど……
ここで被っちゃうと芸能人だと思われて
追跡されると悪いから
家着いた辺りで被ってね。
あとこれも、未使用だから付けて」