「大丈夫だから」
彼女は
僕といる所を撮られたりしたらまずいとか
たぶん僕のことを
気遣ってくれてるんじゃないかって
そう思ったから
それは少なくとも
彼女の責任じゃないという意味で
大丈夫だって言った。
でも彼女は戸惑っていた。
どうしたらいいのっていう感じが
表情から伝わってくる。
でもここで彼女を困らせまいと
「そっか、そうだよね、分かった」
と引き下がったりしたら
彼女にちゃんと謝罪もできずに
喧嘩別れみたいになってしまうのが
目に見える。
それだけは絶対に嫌だったから
「ヌナとこのままここでバイバイなんて
僕出来ないよ……」
彼女にそう言って僕は粘った。
すると彼女は仕方ないか…というように
小さく溜息をつくと
周囲を確認して
「………少しだけ」
そう言って部屋の鍵を開けてくれた。