「やっぱり……そうだったんだ……。
嘘ついてたんだね」
彼女の言葉には
怒りが込められているように感じた。
僕がアイドルだってことは
紛れもない事実。
そして彼女が僕を知らなかったことも
事実。
でも僕は
彼女が僕を知らないことを良い事に
嘘をついてしまった。
事情があるにしても
嘘をつかれたと知ったら
気分が悪くなるのは当然のことだろう。
この時点で彼女は特にどこに怒っているのか
僕には明確には分からなかったけど
嘘をついたことは
ちゃんと謝らないといけないと思ったから
「ねぇ………少し中で話さない?」
伺うように
彼女の部屋を指差してそう尋ねた。
すると彼女は眉間に少し皺を寄せて
「見られたらまずいから……」
そう、僕の提案をすぐに断った。