でも彼女に会えただけ幸せなんだよな…
なんて一人で考え事をしていたら
彼女から手を引っ張られたのが分かって
思わず後ろを振り返った。
彼女は少し頬を赤らめて
「後は別々に……」
と小声でお願いをしてくる。
もう可愛くて
本当は『嫌だ』とか言いたかったけど
もう少し歩けば
オープンフロアで人目があるから
確かにヤバい状況だった。
俺は仕方なくそっと彼女の手を離すと
彼女の背中を押して先に行くよう促して
店を出た。
これが今の俺が出来る
恋愛の限界なんだろうな…
そう複雑に思いながら……。
外に出ると
一部は二次会に行く雰囲気だったけど
俺は明日も仕事があるし
さすがにマネージャーに怒られるから
そこで帰ることにした。
コリちゃんも
帰る組にいたのは確認したけど
ここでは手も振れないから
目線だけ送って
近くに停めてあったマネージャーの車に
足を進める。