俺は即行でその声に反応する。
目線の先には
少し息を切らしながら
俺を見つめる彼女が居た。
来てくれた…………
彼女は見たことないくらいの
ラフな出で立ち……
バッグも持たず
手に財布とケータイだけを持っていて
それだけで
焦って来てくれたんだと分かった。
彼女はもう
俺を嫌ってるのかもしれないけど
その姿を見て
俺への気遣いはまだあるなと思って
そんな彼女を
一層手放したくないと思った。
俺は
付けていたもう片方のイヤフォンも外すと
彼女の元へ行き
最後のチャンスを絶対に逃すまいと
彼女の手首をぎゅっと掴んだ。