あ、ナムに行き先知らせないとな………。
まぁ理由も聞かれるだろうな。
抱川なんて
よっぽどの用がないと行かない場所だから…
いつまでも彼女のことを
隠せるとは思ってないし
今回のことが一段落したら
メンバーにも話そう。
どうなるか俺にも分かんないけど…。
そう思いながらスマホの画面を閉じる。
寝不足気味だから
何も無ければ本当は爆睡していたであろう
バスの移動時間だけど
数日前からのこのヤバい状況に
俺の眠気はかき消されていて
イヤフォンで聴くクラシック音楽が
ほんの少しの精神安定剤になった。
早く着け……
窓枠を爪でカツカツ突きながら
焦る気持ちを落ち着けようと
静かに深呼吸をした。