タクシーを待つ時間すらもどかしい。
早く彼女に会って、話をしたい……。
思い留まらせたい……。
少しして来たタクシーに乗り込むと
「高速バスターミナルにお願いします」
と一言。
着くまでの間は
彼女に会えるのだろうかと不安になりながら
暗くなった空に一際明るさを放つ
ソウル市内を眺めて
早く着いてくれとただ願っていた。
高速バスターミナルに着くと
真っ直ぐ抱川行きの乗り場へ向かう。
時間帯もあってか人は少なくて
移動しやすいのが救いだった。
あまり待ち時間もなくバスに乗り込むと
見慣れない景色を眺めながら
抱川へ向かう。
アイツ………
話せばちゃんと分かってくれるよな……?
この時の俺は不安ばかりが増していて
押しつぶされそうにすらなっていた。