彼に引きずられるようにして
無理矢理タクシーに乗せられると
「お前ん家連れて行け」
と言われる。
「えっ…」
いきなりのことに焦っていると
「話、する場所ねぇだろ」
と言われて
仕方なく運転手にアパートの場所を伝えた。
車内は終始無言で
気まずい雰囲気しかなくて
アパート着いたら何言われるんだろうと
その恐怖で手が震えていた。
アパートの前に着けば
彼がサッと支払いをして
また私の手首を掴んで引きずり下ろされる。
殺されるのかなと思うくらいの
恐怖を抱えたまま
部屋に行くと
彼はリビングのソファにドカッと座って
帽子を取り
髪をわしゃわしゃしながら
不機嫌な顔で私をじっと見てきた。