なんか落ち込んだけど
ずっとそのままでいる訳にもいかないから
自分の立ち位置に戻って
仕事を再開する。
少しすると
お菓子コーナーに
先程の若い男性が来てくれて
えっ と一瞬驚いたけど
すぐに我に返って
後悔したくなかったから
嫌われる覚悟で声を掛けた。
「あ!
先程はありがとうございました!」
「いや……僕が助けた訳じゃないですよ」
優しい声の彼が
少し照れ臭さそうに話す。
「そんなことないです!
あの場合、店長を呼ぶのが最善です。
本当にすぐ来てくださったので
大事にならなかった……。
あなたのおかげです。
ありがとうございました」
近くで彼の顔を見ると
やっぱり前に来た
綺麗な顔の男の人のようで
でも
前髪の隙間から少しだけ見える目元は
前よりもすごく優しげに感じた。
「あの……お兄さん……
前も来てくださいましたよね?」
躊躇しながらもそう問い掛けると
彼は驚いた顔をした。