「ぁ……いや……僕は何も……」
店長と2人で頭を下げていると
その男性は手を振って否定する。
ここで初めてその人の声を聞いたけど
予想より遥かに優しい声だった。
彼をぽーっと見つめていると
店長が
「最近あの柄の悪い連中が
この辺りをウロついてるという噂を
聞いていたので……
とても心配していたんです。
広いスーパーでは私の目も
なかなか行き届かないですから……」
と彼に事情を説明する。
「あの……ちょっとサービスカウンターまで
来てくださいますか?
少しばかりですが、お礼をさせて下さい」
店長は
申し入れを断るその男性を説得して
サービスカウンターへ連れて行った。
一人取り残された私は
そのまましばらくボーッとして
さっきまで居た
私を救ってくれた彼が
立っていた所を見つめていた。
さっきのあの方はやっぱり
私が前に馴れ馴れしく話し掛けてしまった
若い男性客……だった…のかな……
もしそうなのだとしたら
また来てくれたってことだよね…。
でもこんなことあったし……
今度こそもう……来ないだろうな………。
せめて最後に
また来てくれたお礼と
今回助けてくれたお礼がしたかったと
私は後悔していた。