助かった……………









足元から崩れそうになりながらも

試食の台に手をついて





「店長、ホントにありがとうございます!
怖くて……でもどうしようもなくて
困り果てていたんです………」






そうお礼を言うと








「僕じゃないんだよ。
あの方が僕に知らせてくれたんだ」






店長は
通路の入り口に居た男性を視線で指して



そのままその人の所へ行った。










その人は前髪を長く垂らしていて
顔がよく見えないけど
細身の若い男性で




前にチョコレートを買いに来てくれた
顔が綺麗な若い男性に
雰囲気がよく似ていた。











「お客様。
私どもの従業員を助けていただき
ありがとうございました」








その人の顔が気になるけど




それよりもまず
感謝の意
を伝えなきゃと思って


慌てて駆け寄り






深くお辞儀をした。










私にとってその人は
神様が差し出してくださった
救世主だった。











だって




もしその人が店長に
知らせてくれていなかったら………










考えるだけで恐ろしい……。












店長にももちろん感謝しているけど






その通り掛かったお客さんが
たまたま良い人で


私の為に動いてくれたから

こうして何もなく済んだのだ。










私は心の底から2人に感謝した。