「結構時間経ってたね。
あっという間だったなぁ……。
……もうそろそろ帰ろっか」
「そだね」
僕たちは席を立って、会計に向かう。
「僕が払うよ」
彼女が持っていた伝票を取ろうとすると
彼女は首を振る。
「練習生は売れるまで苦労するでしょ?
だから私がご馳走するから」
えーーっ
そこ気にしちゃう?と思って
「でも僕が誘ったし払う~」
と言ったんだけど
彼女は伝票を
僕から見えない位置に隠したりして
全然取り合ってくれなかったから
仕方なく…
「僕が払うのに……………
うぅ………ごめんねヌナ…………。
ご馳走さまでした」
負けてご馳走になってしまった。
女の子に奢らせるなんて………。
あぁ………僕って
どこまでもカッコ悪い男だなぁ……。
この間も彼女を
柄の悪い奴等から救えなかったし………。
僕は思いも寄らない所で
芸能人とか練習生っていう
肩書きに邪魔された。