
僕の名前を聞いて
何か反応されるか正直不安だったけど
彼女はやっぱり
僕のことは知らないようだったから
それにホッとしている自分がいた。
僕にとってはその方が好都合だったからだ。
もし彼女が僕のことを知っていて
『サインください』とかって
大騒ぎするような子だったら
たぶん僕から友達になろうと
そもそも声を掛けていなかっただろう
とは思う。
僕は芸能界に関係がない人……
BTSのJIMINではなくて
僕自身を見て
付き合ってくれる友達が欲しいと
その時期は強く思っていたから
最初から
僕のことを知らない人を探していた。
なんで僕が
そんな友達を欲しいと思っていたかと言うと
芸能界に入って
僕が有名になった途端
心が繋がっている友達が減り
その分
顔見知り程度の友達が増えたからだ。
みんなただ僕と友達だと言いたいから
近寄ってきてるのが分かったし
ごはん行こうとか
写真撮ろうとかそればっかり……。
お互いの本当の悩みとか気持ちを
共有できる人は
メンバーしかいなかった。
芸能界でそれなりに立場が確立してくると
それに併せて息苦しさも増し
その場所以外での
息をつける場所が欲しかったんだ。