しばらくして、バスが来ると
それに乗って実家へ向かう。
実家には少ししか滞在出来ない。
わりと強行軍で来ていたから
着いたら束の間の母との時間だった。
父は仕事でいないけど
母は元気そうでまずホッとした。
「有名になろうと何だろうと
お前は私の息子だから。
失敗して挫折することも
もしかしたらあるかもしんないけど
そしたら戻っておいで。
まずは体に気をつけること。
それが一番大事だよ。
…はぁ……もう痩せちゃって……
もう少し食べたっていいんじゃない?
………まぁ…口出しはこの辺にしとくけど……
気をつけて帰るんだよ」
これ食べなさいと持たされるものと
母親らしい
暖かい言葉に涙腺が緩みながらも
見送られて
再びバスで寮への帰路へ着く。
帰りは行き同様に
ぼーーっと外を眺めた。
また多忙な日々が始まる……
そう思ったら少しだけ
現実逃避をしたい気分にもなった。