「もしもし…」







久々に聞く彼女の透き通った声は





疲れきっている俺にとっては癒しだった。













「お……出た。
寝たかと思った」






「まだ寝てないよ」













「仕事……どうだ?」







俺が仕事で見ている景色じゃなくて




彼女の景色を見てみたくて

そう聞いたんだけど










「忙しいんでしょ?
私の話はいいから……
何かあったの?」







彼女は


めんどくさいから早く用件を言え
と言わんばかりの声音で
そう言った。












別に用件がある訳じゃなくて

彼女の近況を聞くことが
俺の用件だったんだけどな……











やっぱ怒ってんのか……?






やっぱりもう俺に愛想尽かした……?









彼女の感じから
ちょっとヤバイと焦った俺は







「いや……特にねぇけど。
ただ……お前の声…聞きたくなった」






ちょっとクサイ台詞の気もするけど

本当だからそう言った。