「もしもし?」
「あ………オッパ…出ると思いませんでした」
彼女の気の抜けた声…
今までと何ら変わらない。
「あの……お電話……大丈夫ですか?」
「うん。何かあった?」
「えっと……あの………
この間広告のモデルを
やらせていただいた件で……」
そういう話だろうとは思って
電話には出たけど
そう切り出されて
思わずゴクッと唾を飲む。
「カラコンの会社側から
契約延長してくれないかって
頼まれてた最中…
プロデューサーさんから
良い事務所から声が掛かってる…
契約しないかって言われてまして……
どうしたら良いのか分かんなくて……」
この間のプロデューサーは
やっぱりモヨナをアイドルの原石だと
思っていたのだろう。
彼女は芸能界でどうか試す為に
最初フリーでやろうと
圧をかけずにその気にさせた辺りは
やっぱり腕がある人だとは思う。