様子を見ていると
彼女は急に立ち止まって
2人に何か言葉を交わすと
彼女たちとは別れて
歩いていた方向とは逆方向に
早足で引き返し始めた。
あ…………今だ
そう思った俺は
周りから変に思われないように
気を遣いながら
小さい声で
「コリちゃ~ん」
彼女の名前を呼んだ。
彼女に俺の声は聞こえたようで
立ち止まって
機敏に振り返っていたけど
結局は
声の主を特定できなかったようで……
そのまま向き直って歩き出してしまった。
俺は今一度周りを確認して
「コリちゃ~ん」
もう一度呼んでみた。
彼女は立ち止まり
俺の居る方向へゆっくり振り向いた。