「ぇ……ぁ………はい……」
彼女はさっき名乗った時の
しっかりした声とすごく対称的に
弱々しい声で反応した。
「こないだ貰った名刺に
会社のケータイ番号とか
あるかなぁと思ってたんだけど
無かったからさぁ。
迷惑かと思ったんだけど
ちょっとだけと思って……
ごめんね?」
俺がそう言い訳すると
彼女は
「あの…………私何か…」
と 俺に何かしてしまったから
電話が来たと思ったようで
申し訳なさそうに
ちょっと震えた声でそう言った。
「あぁ全然~
何かしたっていう訳ではないよ。
ただ、コリちゃんの連絡先
聞きたかったから電話したの。
この前みたいな場所だと聞きづらいじゃん。
だから番号だけでも教えてくれない?」
自分でやっときながら俺は
ホント迷惑な男だと思った。
でも彼女への後悔を
もう引きずりたくなくて
嫌われてるかもしれない………
というか既に嫌われてるような
気もしなくはないけど
勇気を出してそう言った。
本当は
ものすごくドキドキして言ってるのを
カッコ悪いから
悟られないように意識したら
軽い口調になっちゃったけど……。