「ねぇ………」







それでも彼女は
見られたらヤバいよって感じの焦り具合で
僕を呼び止める。















僕は答えた。










「今日は俺……キムテヒョンとして
全力でヌナを口説きに来た。
俺の肩書きは一旦忘れて」















そう



僕はBTSのVっていう肩書き抜きで



一人の男としてここに来たんだ。









Vは職業の関係上
意図せずとも彼女を傷つけてしまったけれど






Vじゃなくて
キム・テヒョンという人物


人柄を見て
判断して欲しかった。












彼女に微笑みかけると












彼女は繋がれている手を見ていて

なんか落ち着きがなかったけど





僕は手を繋いだまま歩き出した。













そのうち彼女が諦めたように
抵抗していた力が抜けていたから


僕は彼女の横に並んで歩いた。


















なんかカップルって感じがして
ドキドキする。











背の低い彼女に合わせるように
歩幅を気にしたり



顔を傾けて彼女と目線を合わせたり











僕は彼女とキスしたり


それ以上のことがしたいというよりかは









そういう


普通の恋人同士らしい
気遣いをしたかったんだと

この時気づいた。