少しして彼女が
「社長……………」
と呆然とした感じで話すから
社長が出てくれたのだと分かった。
「なんで…………
テヒョンくんがここにいるんですか……?」
魂が半分以上抜けているような声音に
僕は思わず彼女を見る。
彼女は真っ直ぐどこかを見ている。
社長の声は全然聞こえなくて
でも
何を話してるか気になったから
彼女のケータイに耳を傾けると
突然
「何が良かった……ですか………
なんで言ってくれなかったんですか!」
彼女が怒り出すからビクッとする。
あ、ヤバいかな………と
様子を伺っていると
「ぇ…………ぁ…………社長!?」
彼女はケータイを離して
画面を確認している。
どうやら電話を切られたようだ。
どういう展開なのかよく分からないけど
彼女は唖然としている。
でも僕には
それに構ってる程時間がなかった。
だから強引にも彼女の手首を握って
「はいはい、嘘じゃなかったでしょ?
そうと分かったら早く!
早く着替えて!
こうしてる間にも
時間はどんどん無くなっていくんだから!」
彼女を急かした。