「ていうか……ユンギ………
もうそろそろ……
私と出歩くのまずくない……?」
彼は帽子とマスクを付けているとはいえ
世間にだいぶ顔を知られているだけに
私は周りの目が気になった。
彼とデート出来ることは嬉しいけど
しばらくデートをしない間に
彼がすごく有名になっていて
私といることで
彼に迷惑をかけてしまうんじゃないかという
恐怖を感じるようになっていた。
それなのに彼は能天気に
「大丈夫じゃね。
変装してるし」
なんて言うから
私は一人小さくため息をついた。
どうしようかと考えていると
「いいから行くぞ」
と彼はスタスタと歩き始めてしまうから
周りを気にしながらも
なんとなく
彼の後ろをついて行くしかなかった。
でも…………ユンギ………
一体どこに行くつもりなんだろ……
ちょっと首を傾げながら
彼の後ろ姿を見ながらついて行くと
なんかガチャガチャと案内の書いてある
雑居ビルの前で立ち止まった。
ビルを見上げていると
彼は階段を上がって行ったから
私は慌てて彼を追い掛けた。