そして約束の時間。
来てと言われた
いつかのハンバーグレストランに行く。
社長は既に外に居た。
「お待たせしました…」
私が少し顔色を伺いながら
そう声を掛けると
彼はいつもと変わらず
「全然!お先にどうぞ」
ジェントルマンらしい所作だった。
何を考えているのか分からない社長と
向かい合って
なんとなく居心地の悪さを感じていると
社長は口を開いた。
「朝はごめんね」
「えっ………」
一言目が意外すぎて
私はキョトンとしてしまった。
「僕、怒る気は全然なくってさ……。
なんか君……最近目が虚ろだから
ちょっと渇を入れてやろうと思ったら
なんか間違った感じだったなって
後から思って……」
なんで社長が反省しているのだろうか……
間違いなく悪いのは私なのに………。
「いや………
私の仕事のやり方は確かに効率悪くて
良くなかったなと思うので
社長がおっしゃってたことは
正しいと思いました。
社長が謝らないでください。
私が………すみません…」