「あ……銀行…だよ…」
「前受けるって言ってた△△銀行?」
「そう」
俺はさすがだなと思った。
欲は少ないし
何となく……
みたいに言ってる時はあるけど
でも実は芯がしっかりしてて
きっと頭の良いヤツだから
将来性とか色々と考えて
選んだ就職先なんだろうなと思う。
「ねぇなんで笑うの?…酷くない?」
でも彼女は
俺の無意識にニヤけた顔に
勘違いをしていたから
俺は慌てて弁解した。
「いや、さすがだなぁと思って」
彼女はえ?って顔で俺を見た。
「堅実でホント
しっかりしてるよな、そういうとこ」
そう言うと
彼女の口元が少し笑ったのが分かった。
「勤務地は?」
「まだ全然分かんない」
「そっか…。決まったら教えろよ」
「うん」
今よりも近い所ってことはないだろうけど
なるべく頻繁に会える場所だといいな…
これからはどうなるか分からない。
もっと忙しくなるかもしれない。
でもそんな時こそ彼女に会いたくなるから
物理的な距離は少ないことを願っていた。