彼女はカットの声に
自分の匂いを確かめるのを辞め
下からキョトンと僕を見上げた。
僕はそんな彼女を笑いながら
彼女の手を引っ張って体を起こす。
「ぇ……カット…?ですか?
今撮ってたんですか…?」
彼女は撮られてないと思ってたようで
まんまるい目で僕に問いかけた。
「うん、OKだよ。たぶん終わり」
「ぇ……大丈夫だったのかな…
私、全然撮影に集中してなかったです……」
彼女はたぶん
僕がどんな表情で
何をしていたのか
全く以て分かっていない。
ただ純粋に
僕の話に集中していたのだろうから。
「それにオッパ。
私からホットケーキの匂いなんて
全然しませんでしたよ?」
僕は彼女の話に笑いながら
手を引いて一緒にベッドから降りる。
「俺にとっては
そういう匂いがしたって話。
いいからまず映像確認しよ?」
彼女は納得いかないというような
顔をしていたけど
僕は構わず
彼女をプロデューサーの元へ連れて行った。