「え、だって相手って言うから……」
「俺たち戦ってどうすんの~
モヨナさすがに俺には勝てないでしょ。
俺だって男だかんね~」
「方法によるかもしれませんよ?
こちょこちょとか…」
あぁやっぱり俺の癒しだ。
「モヨナ、わらかすのやめて……」
彼女に電話すると
なんかいつも元気貰うんだよなぁ…
そう思いながら
僕はひとしきり笑った。
僕はヒクつく腹を
なんとか落ち着かせると
本題に戻った。
「相手って言うのはね
僕の好きな人の役。
ま、役って言ってるけど
実際も好きな人なんだけどね」
彼女は照れたのか
電話口からそわそわした感じが
なんとなく伝わってきて
思わずニヤけた。
「でも……
私が……ですか……?」
「うん。
この間さ、モヨナをオファーした
俺のマネージャーいたでしょ?
あの人がモヨナを相手役にしたらって。
俺としてもそれだとありがたい。
俺、演技に自信ないから
モヨナだったら出来るかなって思って」
「………でも私………出来るかなぁ……
オッパに協力したい気持ちは
すごくあるんですけど…
でも………」
急な話だし
それに公に出るものだから
彼女が不安になるのも
自信がないのも理解できる。
でも出来るのならば僕は
他の女の人と出演したくなかった。
こう見えて
人見知りする所もあるし
ましてや異性なんて
もっての他だった。