「あの………!
先に行ってください!」
私が立ち止まってそう言うと
「どうして?」
彼も立ち止まって振り返った。
どうしてと言われても………
「あ………じゃあ私が先に行きます!」
私は逃げるようにして中に入った。
会場内は
各々が自由に話している様子だった。
私は女性陣の元に駆け寄って
中にいるアヨンに話しかけた。
「ごめん遅くなった」
「遅かったね。大丈夫?迷っちゃった?」
「や、そうじゃないんだけどね……」
そう話していると
キャーーーーーという黄色い声と共に
私の周りの女性たちが
サァーーっと居なくなった。
気づいた時には
隣に居たアヨンも居なくなっていて
急に私の周りだけが静かになった。
騒がしい方を見ると
背の高い男性の周りに人が集まっていた。
きっとソクジンくんなんだろうな………
私はなんとなくそういう予想がついた。
正直そんなに興味はないけど
みんながカッコいいって騒ぐから
どんなお顔なのかな~と遠目で見てみる。
彼は顔が小さくて
すごく綺麗な顔立ちをしていた。
特に顔にこだわりのない私にとっては
好みってわけでもないけど
所謂イケメンの部類に入る顔だろう
とは思った。