彼女に片付けに戻るように言われて


あっ と思い出す。







彼女と直接
連絡をとれるようにしておかないと……









「ちょっと待って」







「ヌナ、ケータイ」







彼女は首を少し傾げながらも
ケータイを差し出した。






僕が彼女のLINEをチェックすると
やっぱり僕とのトークは
ブロックされていた。






僕はブロックを解除して

僕の電話番号も登録し直す。










「え?ちょっと……」

「あ、やっぱり俺の連絡先消してた。
よし、俺の登録し直したから。
俺からの電話もLINEもちゃんと応答して。

あ、あと………」








僕のことをいつも思い出して貰いたくて

僕は彼女のケータイでセルカを撮った。











「待ち受けにしとくから。
変えちゃダメ。俺の写真なら良いけど。
ヌナの彼氏ですって
言いふらしていいよ?」








僕は本当に勝手だとは思う。







でも




彼女に僕を忘れて欲しくなくて


いつも僕の存在を感じてて欲しくて






変えられるかもしれないと思ったけど

待ち受け画面を僕に設定した。

















「俺の待ち受けはね~
付き合い初めた頃からヌナなんだよ~」







僕の待ち受けはずっとヌナだった。










彼女がBig Hitに居た頃




片想いをしていた僕は

彼女のことを一度
隠し撮りしたことがあった。











「これね、俺が片想いしてた頃に
隠し撮りしちゃったんだ。
可愛くってつい…」









彼女が失踪しても

僕と別れると無言の返事が来ても




僕は待受を変えることはなかった。










それを見る度に
彼女のことを思い出し




彼女のことを探さないとと
想い改めていたから………。












彼女の写真は





僕自身への教訓であり





僕のお守りでもあった。