受付の女の人に尋ねると
「少々お待ちください」
と奥へ引っ込んで行った。
しばらくすると
店長らしき
優しそうな雰囲気の男性が出てきて
「いつもありがとうございます」
と挨拶をしてきた。
「あ……こちらこそ……。
あの、ちょっとお話があるんですけど……」
そう切り出すと
その人は空気を読んでくれて
フロントから出て来てくれた。
端に寄って立ち話をしてみる。
「どうされましたか?
何か……気になる点とかございましたか?」
店長として
何かクレーム対応を
するつもりでいるのだろう。
「気になる点……なんですかね……。
よく僕の担当をしてくださる
キムさんのことなんですが……
この間、他のお客さんに絡まれている所を
偶然見かけたもんで……
なんか心配になって……。
なんか中年位の小太りの男性でした。
セクハラとか………大丈夫ですかね…?」
そう話すと
彼はかなり驚いていたから
やっぱり初耳か…と思った。
「そうだったんですね。
存じ上げませんでした……。
対応を考えてみます。
お気遣いありがとうございます」
店長は丁寧にお礼を述べると
「またのご利用をお待ちしております」
と見送ってくれた。
その日の夜
突然
彼女から電話が掛かってきた。
彼女から掛けてくるなんて初めてで
すごく驚いたけど
なんか嬉しかった。
「……もしもし?今仕事中…?」
「いや、寮だけど」
「電話大丈夫…?」
「おぅ」