俺が彼女を好きになるのには
そうは時間が掛からなかった。
というより一目惚れに近かったけど
彼女の内面が見えてくると
俺はどんどん彼女の魅力にハマっていった。
毎週のようにマッサージ屋さんで
彼女に会っては
他愛もない会話をする。
彼女は相変わらず
サラッとした受け答えをするけど
でも心は暖かい人で
少し空調が効きすぎているなと思っていると
何で気づいたのかは分からないけど
さりげなくタオルケットを掛けてくれたり
手に傷があると
オイルをつけないようにして
後から無言で絆創膏を貼ってくれたり……
それに
彼女の前だと何だか肩の力が抜けて
普段口にしにくい弱音も吐いていた。
「俺にダンスは無理だっつってんのに。
なんで求めんだよ……」
彼女は優しい手つきでマッサージをしながら
「無理だと思ったら
わざわざダンスをするようなグループに
入れないですよ。
それに全部出来たら
もう世の中つまんなくなりますよ」
彼女はそう言いながら
痛みの強い箇所をほぐしてくれる。
「出来ることがあるんだから
思うように出来ないことがあったって
別にいいんじゃないですか?
私はラップ出来る方が
すごいと思いますけど……。
あんな口回らないし……。
そう考えると滑舌良い人っていうか
持って生まれた人しか
出来ないじゃないですか。
デビュー出来る人なんてほんの一握り。
満足出来ないのが普通ですよ。
逆に今完璧に出来たって思う人は
たぶん先がないです」
口数がそんなに多くはない彼女が
珍しく本気で励ましてくれた気がした。
人に媚びない性格だからか
彼女の言うことは
その通りかもと思えてしまうから不思議だ。
だから俺は
ここに来ると
心身共に元気になっていた。
そして俺は段々と
彼女への
友達としてではない感情が
目立ってくるようになる。