バイトのことを済ませると
公園に戻った。




社長はどこかに電話をしていたけど


私に気づいて
手で合図を送ってくれて
再び会社へ戻った。





その道中
社長は英語でペラペラと話をしていて
カッコいいなぁと思いつつ


仕事の邪魔をしている気がして
これから私はどうしたらいいんだろう
と考えていた。








すると
会社に着く頃に社長が


「良い事思い付いた」


と呟いた。







会社の応接スペースで
バイトの事を伝えると


社長が


「引っ越しの方ももう手配したから」


と言うから仰天だった。







行動が本当に早くて
トントン拍子に物事が決まるから


ホントにカリスマ性のある社長なんだなと
憧れを持ち始める自分がいた。







「もう大家さんには話をつけてるから
明日の朝荷物の運び出しをするよ。
何か触られて困るものとかある?」


「思い付くものは特に……」


「じゃあ明日僕の知り合いの業者さんが
運び出してくれるから
○○さんは立ち会いなしでも大丈夫?」


「え…それって大丈夫なんですか…?」


「安心して。信用できる人たちだから。
女性が主に
片付けてもらうようにお願いしたし」





人網……
そつない対応に

思わず感心した。






「よろしくお願いします……」



「そうと決まれば
今日泊まるホテルに連れてくから
出掛ける用意してね」

「え…?」

「アパートには帰れないでしょ?」

「ええ、まぁ…」

「さっき空いてる所見つけて
取っといたから」







圧倒だった。








ホテルの部屋の前まで
社長は送ってくれて


記者に一人で
追い回されることもなかったから安心した。






「じゃ、明日8時半くらいに迎えに来るから 朝食食べないで待ってて。
安心してゆっくり寝て。
おやすみ」



社長は暖かい笑顔を向けて

手を振って行った。




私は深くお辞儀をして見送った。












その夜



社長の気遣いで
部屋にルームサービスが届けられて
夕食をとった。





その後シャワーを浴びたりして


ベッドに入ったけれど


やっぱり眠れなかった。











朝のニュースを見た時から
目まぐるしい1日だった。









今日で住む所も働く所もなくなり







そして恋人も…………。









ケータイを見ても
相変わらず何も連絡はなかった。







テヒョンくんはどうしてるのかな………









私のこと…………






もう忘れちゃった………?






どうでも良くなった………?










私はそんなことを考えてしまって



全く眠れない夜を過ごした。