彼の消えそうな声に
胸が張り裂けそうだった。
私は思わず彼の背中にそっと手を添えて
あやすように優しく撫でた。
しばらくして
グクは私の体を離すと
彼は両手で涙を拭いて
ふぅっと息を吐いた。
すると
グゥ~~
グクのお腹が鳴った。
私は思わずプッと吹き出してしまった。
「お腹空いた?」
「うん………」
私はグクと
家の近くの公園まで歩く。
「さっき俺のせいで
自転車に足ぶつけちゃったでしょ。
ごめんね……大丈夫?」
「平気」
ベンチに腰をかけると
とりあえず
今後に関してはさしおいて
グクの空っぽのお腹を
満たしてもらうことにした。
グクはさっきパン屋で買った
クリームパンを食べ始める。
グクは大食いだからな…と思って
私は
おじさんから貰ったパンをグクに渡した。
「いいの……?」
「貰ったやつだし…………どうぞ」
グクは嬉しそうに膝にパンの袋を置いた。
「ここのパン美味しいね」
グクはクリームを口の周りに付けながら
幸せそうに食べていて
久しぶりの彼のそういう姿に
愛しいという感情が沸き起こっていた。
「ここのパン美味しくて
高校の時よく行ってたんだぁ……
だからバイト募集してて
ラッキーと思って……」
私は昔を思い出して
少し笑ってそう話すと
「なんかヌナ……
日本に来て元気になった感じする……」
そう言われて驚く。
「え……?」
「ヌナもこんなに明るく話すんだね」
グクにそう言われて
複雑な気持ちになった。
どういう気持ちで
彼はそう言ってるんだろう。
「悪い意味で言ってないからね。
もっと………好きになった」
そう言われて私は
目だけを彼に向けた。