「ジョングクさんは韓国
いや、世界を股にかける有名人。
顔も整っていて
何でもできて
そりゃあモテるでしょう。
私はそんなチャラチャラしてそうな人に
娘を渡したくないって
正直思ってました。
失礼ですが、遊びだろうと思ってました。
だから韓国でのことを聞いた時
とんでもない男に掴まって
酷い目にあったんだと思って
娘を韓国にやった事を
すごく後悔しました。
でもそれは思い込み。
私は一度もジョングクさんに
お会いしたことがなかったのに
決めつけていた……
先程ジョングクさんの話を聞いて
決してチャラチャラしている人ではないと
自分の思い込みに気がつきました。
きっとあの事件も
ジョングクさんの人柄を好いた
熱烈ファンが
嫉妬でやったことなのでしょう。
あの事件……
きっとジョングクさんも
相当ショックだったんでしょうね……
実は私もジョングクさんの
体調不良のニュースは見てましたから…」
お父さんは穏やかな目をして
僕を見ていた。
「ジョングクさんが
こんな所に来るなんて
決して容易じゃない。
多忙でしょうし
娘じゃなくたって代わりは沢山いる。
それなのに来てくれたということは
それなりの想いと覚悟を持って
来られたんだと私は思ってますが……」
そうだ。
僕は彼女を迎えに来たんだ。
半年かけて彼女を守れる
万全な状態を作って……
「当然覚悟を決めて来ています。
彼女と僕が
元の関係に戻るということは
色んなことを犠牲にしなければなりません。
でもその心配を
僕の仲間……
BTSのメンバーが
壊してくれました。
僕だけじゃなくてメンバーも
彼女を寮母としてまた迎え入れたいと
想いを伝えてくれました。
でも想いだけでは
どうにもならないこともある……
それをあの事件で知りました。
だから……
彼女に戻ってきてもらう為に
僕たちも努力をしました」
「努力……?」
「はい。
事務所と沢山話し合って
寮を変えたんです。
もっとセキュリティが
充実している所に……
そこまで達するのに
すごく時間が掛かってしまい……
半年経って
迎えに来ることに
なってしまいましたが……。
僕らの想いを伝えるには
行動で示さないとと思って
そこまでやりました。
やることができました。
だからあとは
僕に、僕らに足りないものは
彼女だけなんです……」
僕がお母さんとお父さんに目を向けて
そう伝えると
お母さんは涙目で顔を手で覆い
お父さんは
「はぁ………」
とため息を吐いた。
相反するもので
僕はどういう意味なんだろうと
不安に思った。
「○○○は
すごく良い男に捕まったな」
「あ~もう……イケメンだわ……」
お父さんとお母さんは
顔を合わせて微笑み合っていた。
あれ……?
「あとは○○○と話して
2人でどうするか決めてください。
2人で決めたことなら
文句は言わないので。
ただ、私としては
結果として
娘が傷つかないことを願うだけです」
お父さんは僕にそう言うと
お母さんもそれに頷いていた。
これは……
認めてもらったのか…?
そう捉えていいんだよね……?
そうと決まればあとは……