-グク目線-




彼女が退院してすぐ韓国を去り





数日間

僕は著しく体調を崩した。





幸いなことに
生放送やライブ等の
スケジュールはなかったので良かったけど


体調優先で
様子を見ながらの仕事になった。








今までの芸能生活で
こんなに体調が悪い日は
そんなになかった気がする。



僕は吐き気と頭痛に悩まされた。







医師の診断では


身体的に何か原因がある訳ではなくて
精神的なものらしい。



鬱っぽくなっていて
食欲不振、不眠が引き起こされ
結果体調不良になっているのだろうと
告げられた。









彼女が心身共に傷つけられたこと


それが僕が原因だったこと


彼女が突然僕の元からいなくなったこと







それが僕には大きなショックだった。












彼女を守れなかった…………





自分の弱さを痛感した。













仕事から帰ったら
彼女が笑顔で待っててくれた
僕の大好きな寮も


今では
彼女の幻覚を見るだけの
恐ろしい場所になった。







ふとした瞬間

彼女がいるような気がしてしまって




気分が上がった分だけ
幻覚だって分かった瞬間
ストンと
突き落とされるような感覚になっていた。










番組収録等
表に出る仕事も当然ある。



僕はファンに心配させまいと

以前と変わらないように
パフォーマンスをしたり
コメントしたりするようにしていたけど





食欲もないし、睡眠不足だからか

ダンスの後は
以前より息切れもすごくなったし
目眩もした。





メンバーに支えてもらって
そんな素振りを見せないように
隠してたつもりなのに



ファンは僕の事をよく見ているようで





『痩せた』『やつれた』
『病気とかじゃないよね?』
『目の下のくまヤバくない?
心配なんだけど』
『もしかして家政婦の
殺人未遂事件のせい?』
『あれからだよね』



SNSでは僕のことを心配したり
原因を考え出すファンのコメントが
沢山出ていた。







問い合わせの電話も事務所に殺到して


スタッフたちも
本気で僕を心配し始めた。







僕が何とか活動を続けていけるようにと
事務所はスケジュールを調整し


僕はほぼ毎日病院へ通っては
点滴をしたり
体調を安定させるように施してもらった。


それで
食欲は少し回復したりもしたけど

一向に眠れなかった。









目をつぶると


僕が見ていないはずの
彼女が切りつけられた事件現場の幻覚が
見えてしまう………




僕は睡眠薬で
辛うじて眠る生活を続けた。