-彼女目線-




日本に帰国してから1ヶ月は



傷の完治と
精神的ダメージからの回復の為
病院に行ったりして


実家で穏やかに過ごしていた。











帰国したことは
今は友達には伝えないことにした。






万が一
グクとのことを勘づいた人がいれば
情報が漏れて
危険な可能性がある。



熱愛報道から
この殺人未遂事件までの
一連の騒動が

時が経って忘れられるまで


ひっそりと静かに暮らそうと
両親と相談して決めた。












私の心の傷は
心配されていたよりも深くはなくて



母国で穏やかに過ごすことで
外に出る恐怖感は薄れて行った。







それよりももっと心の整理が必要なのは
グクとのことだった。





グクとは熱愛報道後に寮で数回会って
それ以来会ってないわけで




本当に突然の別れだった。










今は住む国も違うし



事務所にも
かなりの迷惑をかけてしまったから

もう二度と会うことは出来ないだろう。








グクと私との間に亀裂があったとか
直接的に何かあったわけではないし


私はグクの事を嫌いになったわけではない。
今でも大好きだ。






でも



もうお互いに
関わってはいけない存在になった。









だから私は彼の連絡先を


何回も何回も躊躇しながらも
削除した。








彼とのことは

幸せな夢として

心に納めておくことにしよう



そう思えるまでにはだいぶかかったけど




両親と他愛もないことで笑ったり
そんな生活を続けてるうちに

心は元気を取り戻した。










日本でのBTSの人気は
勢い衰えることなく
どんどん高まっていて


私が韓国に行く前よりも
テレビで話題に上るようになった気がした。



最初のうちは思い出さないようにと
チャンネルを変えていたけど


時間が経つにつれて段々と
普通に見れるようになり



頑張ってるなぁとか
カッコいいなぁとか




ちょっとは一緒に生活してた時のことを
思い出したりもするけど



わりと平常心で見れるようにはなった。









あんなことがあったのだから


普通は彼らを見れなくなると思う。





彼らを見れば


色々と思い出してしまうはず。







でも私は
手首の傷跡を見なければ
あの苦しい記憶が
呼び起こされることはなかった。






BTSのみんなには
幸せを沢山もらったのだから


もう直接にはできない恩返しを


遠くで応援することで
したいと思っていた。







それに



こんなごく普通の日本人の私を

一度でも

一瞬でも


愛してくれたグクに
すごく感謝をしていたから………。