あまり眠れないまま翌朝を迎えた。
翌日彼女の状況を聞くと
普通病棟に移されて
状態は安定しているとのこと。
でも彼女はその日も
その次の日も目を覚まさなかった。
僕は不安の中
スケジュールを何とかこなし
メンバーにフォローしてもらって
新曲の振り付けも何とか覚えた。
そして彼女が目を覚ましたと
連絡があったのは
彼女が事件に遭ってから
4日後の事だった。
知らせを聞いて
メンバー全員と安堵の涙を流した。
彼女は目を覚ましてからは
彼女の両親と会ったりして
顔色もどんどん良くなっていったらしい。
本当に良かったと思った。
こんなことがあったからには
今まで通りにはいかないだろうと
思ってはいたけど
彼女は両親と話し合って
寮母を辞め
日本に帰ることにしたようで
サンウさんが
忙しそうに手続きを進めていた。
本当は引き留めたかった。
彼女の為には
親元で穏やかに暮らすのが
一番良いのだとは分かっていても
僕は彼女と別れるのが
辛かった。
僕が初めて本当に愛した女性だから……
せめて
彼女の姿を最後に一目でも見たかった。
でも殺人未遂事件として
公に報道されたことで
僕は病院に行くことは叶わなかった。
こうして突如
僕は
彼女と別れることになってしまった。
彼女が生きていてくれたことが
僕の最大の幸せだけれど
この事件は僕にとって
人生で最大の悲劇だった。