グクは私を腕で囲うようにして
キスをしてきた。
この体勢で彼にキスされるのは初めてで
少しの焦りと怖さを感じた。
しかも
誰かに見られるかもしれないのに……
彼は今までにないくらいに
何回も何回も角度を変えて
キスをしてきて
心拍数が異常なくらいになっていたけど
彼のキスはすごく優しくて
拒むことも出来なかった。
しばらくして彼の唇が離れると
「ビックリした?」
と顔を覗き込んでくる。
恥ずかしくて恥ずかしくて
顔が真っ赤になるのを感じた。
「あのさ………ヌナに……
報道のことで嫌になって欲しくなくて……。
………怖いんだ………」
グクは私の顔の横に腕をついたまま
泣きそうな顔をして
そう呟いた。
グクの少しだけ弱い所を
見せられた気がして
私は思わず
彼の頬に手を伸ばした。
「嫌になんてならないよ……?
大好き………。
守ってくれてありがとう」
少し照れくさかったけど
そう伝えると
グクはそのままぎゅっと
私を腕の中に包み込んだ。
「良かった………」
彼は安心したのか
それから少しして寝息をたて始めた。
彼の筋肉質な腕に守られて
私も安心して眠りについた。
翌朝目が覚めると
私は寝る時と同じように
グクの腕の中にいた。
寝返りとか打ちにくくなかったかな……
なんて心配したけど
ぎゅっと私を抱き締めてる感じは
抱き枕のようで
1つの役目を果たせたのかな~なんて
自惚れした。
朝食の準備をしなきゃと
彼の腕からそーっと抜けようとすると
「ん~~」
と益々力を込められてしまった。
「グクごめん………。
ごはんの準備するから
離してもらってもいいかな……」
そう声を掛けると
グクは半分寝ぼけて
「ん~~
僕の朝ごはん………ヌナがいい………」
と言うから困った。
「グクは寝てて良いから……
ちょ……」
グクは腕の中で
もぞもぞと動く私の顔を
片手で捕らえて
ぶちゅーーーっと
キスをしてきた。
「いいよぉ~~
許してあげる……」
グクのキスを以て
私は解放された。
寝起きでキスなんて
やめてよ………
喉が渇いてたし色々心配になる。
私は体が熱くなりながら
起き上がって
グクの布団を掛けなおすと
キッチンへ移動した。