2人が帰ると

私はリビングで一息ついた。
















すると突然
ケータイが鳴り出した。












グクからの着信だった。








「もしもし…」

「ヌナ?大丈夫?」

「うん」



グクはすごく心配そうな声をしていた。





「ごめん……」

「グクは悪くないよ。
むしろ私が……」

「ヌナは何も悪くないから。
寮にいるよね?」

「うん。
さっきサンウさんと
芦野さんが来てくれた」

「そっか。じゃあ良かった……」




グクのふぅっと
安心したようなため息が聞こえた。





「ねぇグク……」

「ん?」

「ありがとう」

「え?何が?」

「色々考えてくれて」

「いや……
僕はただヌナと居たいから……。
当たり前だよ、こんなこと」

「グクって頼りになるね、やっぱり」

「ホント?」

「うん」

「超嬉しい……。
あ~~早くヌナに会いたい」

「……私も」



 

こんな状況だけど
好きな気持ちは変わらなかった。

だから素直に
私も、と答えていた。






「ねぇヌナ?
今日一人で大丈夫?」

「大丈夫だよ」

「僕のベッド使って?」

「え?」

「今日僕のベッドで寝て」

「え……やぁ……あの……」

「部屋入っていいから」



さすがに彼のベッドに寝るのは……
と気が引けたけど

強めの圧をかけて言ってくる感じは
何を言ってもダメだろうなと思って



「う、うん……ありがと」



と答えておいた。









 
「風邪引かないようにね」

「グクも」

「うん。また連絡するから」

「分かった。気をつけてね。
バイバイ」




電話を切ると
なんだかホッとした。


彼の声が聞けて
すごく安心した。















夜になると
広い寮は一層静けさが際立つ。


寝ようと思って
恐る恐る
ナムジュンさんとグクの部屋へ入る。




「失礼します……」





物が沢山ある彼らの部屋は
今の私には反って落ち着くようだった。




グクのベッドには服が乱雑に置いてある。




私は服をたたんであげると


「お借りします……」


と寝てみた。





グクの匂いがして安心する。


  
でも
なんとなく気が引けるのもあって
寝てみて決めようと思っていたけど


そのうち眠くなってきて
私はそのまま眠りについた。





グクのベッドに寝れるなんて
なんて幸せなんだろう……



私は安心感に包まれて
朝までぐっすりと眠った。