「ヌナが譲らないの珍しいね」


グクは少し驚いているようだった。






「分かった。それは約束する。
でもホントに危ないって思ったら
その約束は破るからね?
ちゃんと自分でも身を守らないと
ダメだからね?」



なぜか
グクに叱られたような感じになってしまった。





でもグクは
私の頭にまた手を置いて
ポンポンと撫でると


「じゃ、また明日。おやすみ」


と微笑んだ。






「おやすみなさい」


そう返して玄関を出ようとすると




グクは

「こういうのなんか良い~」

とニヤニヤしていた。






私はクスッと笑うと
小さく手を振って、寮を後にした。












徒歩数分のアパートに帰ると

まだ手をつけていない段ボールが目に入る。




これに手をつけられるのは
いつになることやら……。










段ボールに囲まれた部屋の真ん中で
明日の彼らの大まかなスケジュールを
確認した。



明日は6時出発か……




早起きは得意だけど
ごはんを作る手際の悪さが
ちょっと心配だった。





早く行こう





そう思って

私は段ボールを見ないようにして
早めに布団に入った。


















翌朝





予定通りの時間に起き

合鍵で寮に入る。







午前4時30分。


当然誰も起きてるはずもなく
しーんとしていた。





そっとキッチンに入って
朝食の準備をしていると



30分程して
ナムジュンさんとソクジンさんが
眠そうな顔をしながら
いきなりキッチンに入ってきたので
思わずビックリした。



「わ!
あ、おおおはようございます……」




2人共ビックリしたようで


「わ!」「およ!」

と声を上げる。





お互いに慣れてない環境の変化に
苦笑いをする。




ナムジュンさんは気を取り直して

「○○○さん、おはようございます」

と挨拶してくれた。





「おはよ~早いですね~」

ソクジンさんもパッと
普段の感じに戻っていて


この2人は寝起きが良いと分かった。





「ナムジュンさんもソクジンさんも
早いですね!
あの…他の方は………」



私の問いかけに
2人は半分笑いながら答えた。






「あ~~あの人たちはダメですね~」






前にBTSのバラエティー番組で
言ってた気がするけれど

確かメンバーは結構寝起きが悪いらしい。




疲れてるだろうし
ゆっくりして欲しいと思うけど

既に出発の1時間前。





「大丈夫ですか?起こさなくて……」



心配になって聞いてみると




「ん~じゃあジョンゴギお願いします」

ナムジュンさんにそう言われて
私は目が点になった。







「あ……はい…えっと………他の方も
起こした方がよろしいのでしょうか?」



一応そう聞いてみると



「あ、他は大丈夫です」


そう言われた。






寝起きが悪い

=無理に起こされると機嫌が悪くなる



そんなイメージだったので
グクに怒られそうな気がして

どんな風に怒られるのだろうかと
不安になりながら
ナムジュンさんに案内された部屋へ行った。