彼は予想もしない
驚くようなことを口にしてきた。
「…どうして……ですか?
やっぱり私じゃ………」
「違うよ。
○○さんのことは本当に好き」
「え……」
「でも今○○さんのことが必要なのは
僕よりもテヒョンさんだなって
思ったんです。
この前事務所で彼を見かけたんですけど
汗だくでフラフラになってて
見るからに無理してて……
本当に辛そうだった……。
僕ら社員も背負ってるんですよ。
彼らは知らず知らずのうちに………。
だから
テヒョンさんが求めてる○○さんが
テヒョンさんを支えてあげてください。
たぶん
テヒョンさんは
○○さんが傍にいてくれるだけで
頑張れると思いますよ」
「スンギさん…………」
スンギさんを改めて
本当に良い人だと思った。
こんな良い人は
私には寧ろ勿体無いと思った。
「気が向いたら
事務所に遊びに来てください。
うちの部署の人みんな
○○さんのこと好きだから喜びますよ。
ま、でも
僕が異動なるかも分かんないですけどね」
「え?そうなんですか?」
「ん~
内々で少し話があって……。
でもまだ分かんないですから
ここにいるうちは頑張りますよ!
さて…と、そろそろ帰りますか。
遅いから送っていきます」
もう外部の人間ではあるけれど
彼の異動をほのめかす話が気になった。
彼のことだから
きっと昇進とか重要部署への異動だろう。
すごいなぁ………。
「疲れてらっしゃるのに…」
「もう少しだけお喋りしたって
いいじゃないですか。
同期なんですし…」
私と彼は2人
家までの道中だけだけど
様々な話をして楽しい時を過ごした。
「じゃ、○○さんお元気で。
また機会があったら」
「スンギさん
本当にありがとうございました!」
彼は笑顔で手を振って歩いて行った。