私がビックリして固まっていると







「ヌナはガードが固いから
こうでもしないとね」




そう言って
指で頬を撫でてくるから
くすぐったくてたまらない。







私はどんどん顔が赤くなっていく。








「子供だと思って油断してると
この先大変だよ?」





彼はそう言って、ニヒヒと笑った。










「じゃ、そろそろ帰るよ。

ヌナ…
絶対……浮気するなよ…?」







どこかで聞いたことのある
決まり文句のような……


 









立ち上がった彼に続いて私も立ち上がる。







「もう、こっちの台詞だよ」







少し呆れてそう返すと

彼は私の手を引いて歩き出した。









「それはないなぁ。
だって俺、ヌナにぞっこんだから」




そう言ってくれるのは
この上なく嬉しいけど……







「先のことなんて分かんないでしょ?」


と私は現実的なことを言った。







「分かるもん」




内容はくだらないけど
そんな軽い言い合いをした。




でもお互い半分笑っていた。









「じゃ、またすぐ連絡するから」


「仕事無理しすぎないでね」


「はーい。
ヌナも何かあったらすぐ教えてね?」


「うん」







私は手を振って彼と別れた。























ドアを閉めると









「どうしよう。
付き合っちゃった…」








私は一人呟いた。











あれだけ渋ってたのに
いざとなったら
その場の感じで言ってしまうなんて…







私は冷静になると




自分の言動に驚きを隠せなかった。