夕食を終えて
洗い物をしていると
テヒョンくんは私の後ろにやって来て
後ろから抱きついてきた。
「おっと……..テテ……?」
「ん?」
「やりづらいんだけど……」
そう言ったけれど
本当はすごくドキドキして
皿を落としそうだったからだった。
「もう俺のヌナだから
遠慮しなくてもいいんでしょ?」
「え、それは………そう……だけど……」
テヒョンくんは結構甘えん坊で
可愛くもあるんだけど
やっぱり体の大きさとか声とかが
男の人だから
すごくドキドキしてしまう。
とりあえず
洗い物を早く終わらせてしまおうと
手元を急がせた。
くっつき虫のテヒョンくんは
洗い物が終わっても
ずっとくっついていて
彼のポケットで
ケータイのバイブが鳴っても
それを無視していた。
「テテ?ケータイ鳴ってるよ?」
「うん」
「うんじゃなくてさ」
「だって手離したら……ヌナいなくなる」
「いなくならないよ?
だってここ私の家なんだから」
「隣にいてよ?」
「はいはい」
彼は私から離れると
ケータイをチェックし始めた。
私はその間に
スンギさんのことが頭に浮かんだ。
彼にちゃんと
断らなければいけないな…と思った。
「ねぇテテ。
私さ……
スンギさんに近いうちに会わないと」
そう言うと
テヒョンくんは鋭い目を私に向けた。
「なんで?」
「だって
テテと付き合うことにしたんだから
お断りしないと……」
「………」
「最低限のマナーだから……」
テヒョンくんは
少し不満そうな顔をしたけど
理解はしてくれた。
「分かった。
でも何言われても絶対流されないでね。
もうヌナは俺のなんだから」
彼にそう言われて
私は純粋にキュンとしていた。
そっか、じゃあ…
テヒョンくんも私のテヒョンくん……?
なーんて一瞬だけ
バカなことを考えてしまったけど
テヒョンくんはアイドルという
特殊な存在だったことを思い出して
すぐに首を振った。
たぶん独り占めをしようとした瞬間
テヒョンくんとは関係が壊れてしまう。
彼と居ると決めたからには
自分なりのスタンスを決めておかないと
後々辛くなるだろうと思った。
普通の恋人同士には
きっとなれないのだから…。