私は思わずスンギさんに顔を向けた。
「さっきテヒョンさんが
好意を持ってるってことを
○○さんは否定してましたけど…
テヒョンさんは
○○さんを好きだと思いますよ?僕は。
前に○○さんが
僕の所属部署を手伝ってくれた時にも
彼は○○さんを迎えに来てましたよね?
あの時から何かあるなと
気になってはいました。
それで送別会で確信しました」
私は彼の推測が当たり過ぎていて
気まずくなって
彼から目を反らした。
「僕も黙って見てられないなぁって…。
僕にもまだチャンスはあるかな…なんて…。
実は僕も○○さんの事が好きなんです。
入社当時から…」
彼の口から放たれた言葉に驚いて
私は再び彼に顔を向けた。
彼は微笑んで私を見ている。
「今はきっと
僕に興味も好意もないのは分かってます。
でも…これからは……
僕とも会ってもらえませんか?
その間に好きになってくれたら………
僕とお付き合いをして欲しい……」
私は彼の突然の告白に
言葉が出なかった。
ただ呆然としてしまった。
彼にテヒョンくんとのことを
見抜かれた事でさえ衝撃だったのに
彼が私を好きだなんて………
「突然ごめんね……。
なんかテヒョンさんに取られるって
僕焦っちゃって……。
あんなイケメンに敵うはずないって
そう思うけど………
でも戦わずして負けなんて
僕は嫌なんで……。
僕も本気だから。
僕はテヒョンさんよりも
○○さんの近くに居られます。
○○さんを支えたいって思ってます。
そういう点では完全に敗北ではないと
思っているんですけど……
ダメですかね…?」
彼は先程までの真剣な表情から
打って変わって
少しおどけた感じで
私の顔を覗き込んできた。
私は彼の表情に
少し緊張が解れて
ふふっと笑った。
彼が社内で人気があるのはそういう所だ。
頭がキレて賢いし真面目だけど
空気を読んで少しふざけてみたり…
レディファーストで礼儀正しく
敬語で話してくれるけど
たまにタメ口を交えてくれるから
年上だけど同期として
フランクに話すことができた。
「真面目に言いましたけど
○○さんには笑っていて欲しいので
頭の片隅程度で良いです。
とにかく、またごはん行きましょう」
彼なりの優しさと気遣いに私は
「はい」
と笑顔で答えることができた。