それから私は最後の出勤日を終え
週末は送別会が開かれた。
予定ではスタッフ10人くらいでの
小さな送別会だったけれど
2次会以降に
飛び入りで色んな人が来てくれて
私は嬉しくて号泣してしまった。
そんな酷い顔をしている時に限って
タイミング悪く
次々と人が訪れる。
「え!?スンギさん!?」
飛び入りで来てくれた人の中には
同期のスンギさんもいた。
「噂で聞いて
知ってる人みんなで来ちゃったよ」
彼はそう言って
私の方に来てくれた。
「○○さんにすごく助けてもらったよ。
本当に感謝してる」
スンギさんは私に
感謝の気持ちを伝えてくれた。
彼とは
新入社員として入ってきた頃の話や
今後の話をして
楽しい時間を過ごした。
私は色んな人にお酒を注がれて
注がれるままに飲んでいたから
気づいたら結構酔ってしまっていて
泣いて重くなった目が
余計に眠気を引き出していた。
そんな頃
送別会をやっていた個室に
数人入ってきて
他の人たちが何やらワーッと沸いていた。
眠い目でボーッと入り口付近を見ていると
一人の男性が私の方へ向かってきた。
朦朧とする意識の中
壁に寄りかかって
目を閉じていると
聞き覚えのある声が耳に入ってきた。
「ヌナ」
この声誰だっけ………
低音で……なんか優しいような……感じ………
「ヌナ?起きて」
「ん?」
目をうっすら開けると
彫刻のようなすごく美しい顔が
そこにはあった。