彼の発言に私は何も答えられなかった。
「ヌナはまだ元彼さんの事好き?
やっぱり忘れられない?」
グクはそう言って
私の顔を覗き込んでくる。
私は動揺と恥ずかしさで
顔が赤くなってしまった。
「もう…………彼の事は………何とも……」
「ホントに?」
「うん」
「じゃあ僕の事はどう思ってる?」
彼にそう問いかけられて
私は
同窓会で日本に帰った時の事を
思い出した。
「え……と……
私が日本に帰って……
グクに連絡を貰った時に
私……すごく嬉しくて……
あ、いつもすごく嬉しいんだけど
あの時は特別嬉しくて………。
会いたいな……
韓国に戻りたいって本当に思った………」
「そんな風に思っててくれたんだ」
「さっきも言ったけど
あの時だけじゃなくて、いつも想ってる。
ファンになってからずっとずっと……。
だから、彼と別れた時も
すぐにグクの事が頭に浮かんで……
だから韓国に……。
好きだから……」
私は一生懸命に今の想いを話した。
するとグクは
私の腕をそっと握ってきた。
「そろそろさ……
本当に付き合ってくれない…?」
グクは腕をぎゅっと掴んで
真剣な目で私を見ていた。
「………あの………本当に……
本当に私でいいの?
何もできないし……
いつもこんな感じで
モジモジしちゃうし……
イライラしない…かな……?」
「ヌナが良い。そのままのヌナが好き」
彼の真っ直ぐな言葉を聞いて
私は知らず知らずのうちに
涙が頬を伝っていた。
グクは掴んでいた私の腕を
そのまま引っ張って
私の体を彼に向けさせると
親指で私の涙を拭いとりながら
「僕と付き合ってください」
と丁寧に告白してくれた。
私は照れながらもハッキリと
「……よろしくお願いします」
と答えた。
グクはそのまま私を抱き締めてくれて
私は彼にすっぽりと包まれて
ドキドキした。
少しして私の体を離したグクは
「チューしていい?」
と聞いてくるから
私は体中の血液が顔に集まるくらい
カーッと赤くなるのを感じた。
私が控えめに頷くと
彼はすごく優しいキスをしてくれた。