アパートにグクを入れると


散らかっていたものを片付けた。


  





こんなことなら綺麗にしておくんだった…




そう思いながら
彼に座るように促す。















彼は部屋を見回していて
恥ずかしくなった。








「あんまり見ないで………」





そう言いながら
お茶を淹れにキッチンへ行った。
















マグカップを用意していると





ふいに後方から気配がしてきて









振り返ろうとすると

突然、ぎゅっと抱き締められた。



















急激に心拍数が上がる。












でもグクの匂いがしてきて




何となくホッとする感じもした。














「ヌナごめん………」







グクは私の頭上でそう呟いた。









「意地悪しちゃった。
ヌナを……とられたくなくて……」







グクは少し泣きそうな声だった。













「とられないよ……?」



「ねぇ………
なんで元彼と居たの?」








「えっと…………」







「ちゃんと話して?」



「うん……。
グク、あっちで……」








「少しだけ……このままでいたい」






彼の腕に力が入った。












どんどんかけられる体重に
前のめりになってよろめくと






「あ、ごめん。ヌナ折れちゃうね……」


と彼は私を解放してくれた。





 









お茶を淹れると
カップを持ってリビングへ行った。











グクに隣に座るように言われて




言われた場所に腰を下ろすと





グクが少し距離を詰めてきた。












「ねぇ。なんで元彼と会い始めたの?

今はまだお試しだけど………
浮気された気分だった」

 




彼にそう言われて私は焦った。






「え……?私が浮気なんて………!」


「ヌナ、モテるでしょ」


「モテないよ。有り得ない」


「モテないで欲しいけど………。
どうしてヌナを傷つけた人と会うの?」




 





「それは………
この前の同窓会で再会してしまって……
それで………」

「ふーん。そういうことだったんだ」





「うん………」

「それでまた好きって?」





「うん………」




















「僕の方が絶対ヌナの事好きだけどね」