「そんなことないですよ。
僕だって苦手な人はいます」
「でも……いても態度に出なそうです」
「最近は
有名になったからって
近づいてくる女性が増えた気がして…
嫌気がします…
僕のこと好きでもないくせに…」
僕は目線を下げて、そう話した。
最近、本当にそういう女が増えた。
同じ事務所の女性アーティストはもちろん
他の事務所の共演者にも
話掛けられたりして
媚びを売るような
肉食感丸出しの感じが
正直気持ち悪かった。
でも
「好きですよ!
ジョングクさんの事、きっと」
僕は彼女にそう言われて
思わず顔を上げた。
違うと分かっていても
僕に彼女が告白したかのように
聞こえたからだった。
自分に都合の良い聞こえ方に
僕は苦笑した。
「ジョングクさんは外見も中身も
カッコいいから、みんな憧れるんです。
有名とかそういうのだけじゃなくて」
僕はみんながそう思ってるとは思えない。
でも彼女が僕のことを
そう思ってくれているのかと思って
僕は口から出るままに
彼女に問いかけた。
「ヌナは…
僕の事をどう思ってるんですか?」
箸で料理を小さく切り分けている
彼女の手が止まった。
「どう…と…言われましても…」
彼女は口ごもった。
「こんな僕は嫌いですか…?」
僕は彼女の目を見て、そう問いかける。
「……………好きです。」
彼女は動揺していたけど
そっと箸を置いて
僕の目を見てハッキリと答えた。
僕は彼女の言葉に思わず笑みが溢れた。
そして
「でも、付き合ってはくれないんですか?」
僕は2度目の告白のようなものをした。
その時、個室をノックする音がした。
「あ…はい!」
彼女は慌てて返事をすると
ウェイトレスが
「失礼します」
と部屋に入ってきた。
ウェイトレスは僕たちの前に
デザートを並べていく。
その間彼女は恥ずかしそうに俯いていた。